周辺の谷戸空間に連続する樹林墓地

谷戸にたつ寺院の境内地拡張計画。小さな観音堂と、樹木葬や永代供養墓など現代的家族にも対応した墓地の整備を行った。
敷地はその特徴から2つのエリアに分けて計画した。市民の森に接するやや急勾配のエリアは「森の墓地」とし、点在する小さなお墓をコナラ・クヌギなど森の樹が被うように配置した。樹々の元にある安らぎの場とすると共に、市民の森として守られてきた自然景観を補強し、森と街が連続的になるように考えた。住宅地に隣接するエリアは「庭の墓地」となるようにゆるやかな造成計画や季節の花木を主体にした植栽計画を行い、親しみやすい景観づくりを試みた。それぞれに、軒下の水屋や谷戸を眺める小広場など、小さな居場所を点在させ、風景に親しむ視点場を創出している。また、全体の雰囲気になじむよう墓石のデザインやコーディネーションも行った。
一般的に従来の墓地の景観はネガティブなイメージを持たれがちである。建築・造園・墓石を統合したこの計画によって、故人を思いしのぶ場と散策や語らいなど地域の日常的な営みの場が重なり、多くの人に親しみ愛される境内空間になればと願っている。

DETA

  • 所在地:横浜市
  • 用途:墓地
  • 建物の構造:RC造・木造
  • 敷地面積:945㎡
  • 共同設計:西日本工業大学、神奈川大学、マチデザイン、長谷川明建築設計事務所
  • 植栽計画:山崎誠子
  • 竣工:2017年
  • 撮影:鳥村鋼一*
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